財務省が3月8日発表した今年一月の経常収支(速報)が4373億円の赤字となった。 経常収支が赤字になるのはリーマンショック後の2009年1月の1327億円の赤字以来で、単月としては過去最大の赤字幅となる。
このグラフは本ブログ1月9日に紹介した財務省発表の経常収支の推移を表したものです。
日本の貿易収支はすでに平成23年度上期には赤字に転落していますが、1月の貿易収支は1兆3816億円の赤字と1979年以降過去最大となっており、所得収支は1兆1326億円の黒字を計上しているものの、円高や海外投資の伸び悩みにより伸び率は3.6%にとどまり、貿易収支の悪化を補えませんでした。
貿易収支の赤字はここ4ヶ月連続で、比較可能な1985年1月以降過去最大。
季節的には中国向けの輸出が春節(旧正月)の影響で伸び悩んだことも一因ではありますが、円高や欧州発の債務危機による需要低迷の影響で世界経済が伸び悩み、日本からの電子製品、自動車、鉄鋼の輸出が減少した一方、原発停止による化石燃料輸入増及び燃料価格の高騰により貿易赤字が大幅に悪化したことが主因です。
昨年1月と比較すると経常収支は5472億円の黒字から今年は4373億円の赤字へと9845億円も悪化しています。
問題はこの主原因の貿易赤字を改善する方向が見えないないことです。
原子力発電所の再稼動は、政府が身動き取れない全く見通しが立たない状態です。 燃料価格はアメリカ国内では天然ガスの価格が下落して入るものの、日本は国際的にも非常に割高なLNG を買いあさっており、スポット価格高騰に拍車をかけています。 原油価格もイランのホルムズ海峡封鎖問題で今後も緩む気配が見えません。
ここへ来て多少の円安にはなってきているものの、今の経済情勢で輸出が急激に増加することは考えづらく、逆に円安による素材価格高騰が新興国の製品輸入減少につながる可能性があることから、貿易収支は更に悪化する可能性があります。
このままでは想像以上に為替相場の円売り圧力が強まりそうです。アメリカの景気が想像以上に堅調であれば尚のことドル金利は上がり始めるでしょう。一方日本の景気は相変わらず低迷を続けています。 1ドル100円近くまでの水準訂正はあってもおかしくないのではないでしょうか?