SVBの破綻は預金の全額保全により乗り越えたかに見えますが、今度はスイス第2の銀行クレディ・スイスの信用不安で世界の金融市場が揺れています。

当面の危機はUBSが買収することで収まりつつありますが、クレディ・スイスの発行した劣後債が保証されないことから、欧米銀行を中心に大きな損失を被る金融機関が明らかになってきています。日本の金融機関の保有は少ないようですが、欧州を中心に疑心暗鬼が広がっています。

SNSやネット情報が瞬時に世界を駆け巡る今、金融機関の信用情報は瞬く間に取り付け騒ぎに直結します。預金の引き出し請求が増えた場合、金融機関は保有資産の売却を迫られますが、満期まで保有していれば額面で償還される債券でも、ここ半年のFRB, ECB の引き締めにより、債券価値は暴落しており、売却すると大きな損失が出ます。 それでも取り付けに対応するために売却することで銀行の財務は更に悪化し、SVBのような破綻につながるわけです。

欧州では2年ほど前からクレディ・スイスだけではなく、ドイツ銀行、BNPパリバなどの金融機関から資金が流出しています。 もしクレディ・スイスの次にドイツ銀行の危機につながるようなことがあれば、リーマンショックに匹敵する大きな混乱が生じるでしょう。

こうした金融機関を巡る疑心暗鬼から、米銀だけではなく邦銀の株価が急落しています。三菱UFJ(8306.T)の過去半年の値動きを見てください。

8306Chart2023

昨年12月のFRBによる金利引き上げにより12月20日の週に700円台だった株価が一気に800円半ばに値上がりしています。 その後1000円の壁を前に足踏みが続いていましたが、早晩超えるものと思われていました。 ところがSVB危機を境に急落、昨年12月の急騰時の株価に行ってこいとなっています。

今日も株価は冴えない動きでしたが、私は日本の金利はこれから上昇するのはほぼ間違いないと考えています。たしかに金利が上昇すると保有する国債などの価格は下がりますが、日本の大手金融機関に取り付け騒ぎが起こるはずもなく、損してまで債券を叩き売る必要もありません。

したがってここは絶好の買い場と捉えて打診買いを入れて良い時期だと考えます。もし何らかのショックで更に700円台にまで下げるようなら天与の買い場と言えるのではないでしょうか?