「富士梨」をご存知でしょうか? 静岡県富士市周辺の農家が作っている梨で、富士梨のブランド名で売り出し中です。
http://www.city.fuji.shizuoka.jp/hp/page000021800/hpg000021756.htm
富士梨は明治末期から栽培が始められ、戦前は長十郎を中心に京浜地方に出荷されていましたが、ヒメシンクイムシ被害や戦時中の食糧増産政策により一時壊滅状態になっていました。 その後「新水」や「幸水」、「豊水」など高品質の梨に移行して徐々に生産量が回復し、現在では富士市内200戸、栽培面積50ヘクタールにまで増えているそうです。
富士梨といっても現在では「新水」「幸水」「豊水」の3種類がほとんど。この時期では「幸水」が最盛期で、まもなく「豊水」に収穫が移行しつつあるところです。
昨日富士市に住む知人が今旬の富士梨を送ってくれました。 品種は「幸水」です。 少し冷やして食べたところ糖度が高く、柔らかい中に適度の歯ごたえが残り絶品でした。 果実を切って皮を剥いている間にも果汁が滴ってきます。
近くのスーパー、八百屋さんでは千葉県船橋市、市川市の梨が盛んに販売されていますが、同じ幸水でも富士のものは適度な柔らかさと歯ごたえのバランスがよく、糖度が高い割りにすっきりした味わいだと感じました。
ただ富士梨は余り大規模な農園で栽培されているわけではなく、栽培農家も200戸ほどで、まだまだ知名度が低く、生産量も少ないために市場に出回らず、目にすることはほとんどありません。
今回送っていただいたのは「富士三水園」のもので、残念ながら通販はやっていないようです。 富士市内の直売所や直接梨園で買うか知人などに送ってもらうしかありません。
余り大きなサイズではなく2L とか3L サイズでは Amazon や楽天市場に出店しているところがあります。
幸水も良く見ると全国各地で生産されているようですね。 私の子供の頃は梨といえば鳥取の二十世紀梨で決まりでしたが。
いずれにしろ食べごろの日本の果実は世界に誇れる品質と味ですね。 リンゴ、梨、メロン、桃などもっともっと海外で売れるはずです。 ただそのためには綿密なブランド戦略と販売ルートの開発維持が必要で、200戸でそれをやるのは難しいでしょうね。
いっそむしろ通信販売などをせずに、現在のように旬の時期にだけ梨園や直販店で販売し、いわば幻の味として希少価値を維持するのが良いのかも知れません。