還暦からの出発

日々の出来事と経済の動きを語る。花とカメラ、PCについての情報も。

2018年11月

上昇続くREIT

20181128-8955

このチャートは日本プライムリアルティ投資法人(8955.T)の過去5年間の株価チャートです。 ご覧のように今年2月安値の35万円がらみから11月に入って連騰に次ぐ連騰で三段上げ、四段上げの様相を呈しています。

8月から40万円前後でのもみ合いが2ヶ月続いていたのですが、11月一月足らずで5万円、12%近い上昇を示しています。

この株の直近高値は2016年4月末の504000円というのがありますが、勢いとチャートの形から言ってこの高値を更新する可能性も十分にあります。

なぜこれほどにREITの価格が上昇したかを考えてみると、私は米国の金利動向が大きな影響を及ぼしている、もしくは10月からの株価の調整が影響していると考えます。

つまり、10月はじめまでは米国経済は米中貿易摩擦に関係なく絶好調を維持してきましたが、BREXIT問題、イタリアの国家予算問題、はたまた米国中間選挙で与野党ねじれ状態になったことなどから、米国のみならず世界の景気の先行きに暗雲が立ち込めてきました。 そのことが米国景気に与える悪影響が懸念され、これまでの予想に比べて米国の利上げペースが落ちるのではないかとの懸念が広まってきた結果だと考えるわけです。

実際に至近のFRBパウエル議長の証言でも金利は経済に対して中立的な位置に達していると飲み方が示され、12月の利上げにも疑問が持たれてきています。 ということはこれまで米国金利は年間0.75-1.00ベーシスでの上昇が見込まれていたものが、頭打ちになる可能性が強くなってきたというわけです。

世界景気が中国の景気減速、米国以外の景気の落ち込みにより失速する中で、米国だけの好景気謳歌は考えづらくなったことを意味しており、10年続いた好景気は曲がり角にたち、今後緩やかに減速する可能性が見えてきたということです。 そうなれば当然金利上昇はとまり、むしろ金融緩和に逆戻りする可能性さえあるわけです。

そのことが回り回って日本の金利上昇の頭打ちを示唆し、利回り株にこれまで以上の妙味が出てきたという見方につながるわけです。
日本プライムリアルティに限らず日本のREIT の利回りは5%近いものがゴロゴロしています。 商社銀行、自動車株などの配当利回りも5%近い株がゴロゴロしています。

銀行や自動車株は今後の金利低下と日米貿易摩擦を考えると投資しづらく、投資の眼が向かうのは利回りが高く今後も続くと思われる不動産投資に関連するREITだというわけです。

上に示したようなチャートは、どこかで確信を持った投資家もしくはグループが腰を据えて買いに入っているときに出る形です。 すでに12%を超える上昇で利食いゾーンに入っているかもしれませんが、こうしたチャートの場合、初押しは絶好の買い場になる可能性が高いと言えます。 5%近い下げがあった場合には迷わず買って良いのではないでしょうか?

秋の花

北海道青森から雪の便りが入るようになり東京も晩秋に入りました。 今年の秋は暖かく高揚も遅れ気味のようですが、今朝散歩した公園の銀杏の葉はもう半分散ってしまいました。

台風にやられて元気がない我が家の庭ですが、それでもアイスバーグは元気に秋の薔薇を咲かせてくれています。
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それでも1ヶ月前にはほとんど葉が落ちてしまっていたので花の数は昨年の半分くらいでしょうか?


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こちらも台風で一ヶ月前にはほとんど葉が落ちてしまったポンポネッラですが、一輪だけ咲きました。 根本を再びカミキリムシでやられたため心配していましたが、なんとか生き返ったようです。

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ピンクサンベリーナは数輪咲きました。 これまた殆ど落ちてしまった葉が茂ってきています。 しかし10輪がせいぜいと行ったところ。

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10日ほどまえ伸びた芽を収穫した春菊です。 根本から脇芽がずいぶん伸びてきました。 10cmまで伸びるのに40日程かかりましたが、芽を摘んでから脇芽が伸びるまではあっというまです。 しばらくは新鮮なサラダにして食べられそうです。

“Point of Contact”

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POINT OF CONTACT
by Tom Clancy (Mike Maden)
2017 Penguin Rancom House

 

 

 

 

 

 

やはり読むのに時間がかかりました。 本年2冊めの原書です。
Point of Contact は普通に日本語に訳すと「接点」になりますが、Longman によると

a) a place you go to or a person you meet when you ask an organization for help.
b) a way in which two different things are related

とあります。 しかし英語版Wikipediaの方がよりこの本の題名を表現しているように思えます。

A point of contact (POC) or single point of contact (SPOC) is a
person or a department serving as the coordinator or focal point of
information concerning an activity or program. A POC is used in
many cases where information is time-sensitive and accuracy is
importanct. For example, they are used in HOIS databases.
 

TOM CLANCY のファンならご存知のように、この本の中では米国大統領になっているJack Lyan が昔は一人の A point of contact に過ぎなかったものが、今や息子Jack Jr. の時代になっています。

作者もTom Clancy の名を冠してはいるものの、実質的な執筆はMike Madenであると思われます。 しかし内容的にはClancy 全盛時代と同様、そのときの米国をとりまく世界情勢を背景に、Jack Lyan が縦横に活躍して米国と世界の危機を悪から救うという筋書きになっています。

2017年発行ということは中国の台頭に対して米国が危機感をもち始めた時期で、この小説も中国による産業スパイ、軍事機密の漏洩を巡るサイバー空間での戦いを中心に描かれています。 舞台もシンガポールであり、登場人物も中国系シンガポーリアン、ポーランド人、中国人、韓国人北朝鮮人が出てきますし、日本の商社も登場、Emerging Asia を代表する仕掛けになっています。

サイバーセキュリティに関する話も比較的新しい情報に基づいて書かれており昔と変わらず綿密な調査に基づいて書かれていることがよくわかります。

内容と筋書きについては書きませんが、文句なしに読んで面白い本です。 善悪がはっきりしているので読後感もスッキリしています。

私の場合50ページ辺りまで読んで行くと面白くなり読むスピードが上がります。 はらはらドキドキしながら後半は一気に読み進むことができます。

ただし結末が今ひとつ物足りない気がしました。 映画のシーンとしては面白いかもしれませんが、物語の結末としてはちょっと締まりがない。 まあ映像に余韻を残したと言えなくもないのですが。

四次元時計は狂わない

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「四次元時計は狂わない」
21世紀文明の逆説
立花隆著
2,014年10月文春新書

タイトルがものすごいですね。
生命科学、政治経済、科学全般に幅広い知識を持つ立花さんの本ですから、四次元世界に関する深い洞察が含まれているに違いないと思いましたが、違いました。

 

 

文藝春秋の巻頭随筆中でも最初を飾る随筆の作者といえば、私は司馬遼太郎さんが一番印象深い。 10年ほど続いたのではないでしょうか?
その他は時の芸術評論文芸などで活躍している人たち10人ほどが書かれているのですが、2011年に立花さんが登場したときには少し驚きました。

といっても立花さんはもともと文藝春秋記者が出発点ですし、1974年に文芸春秋に発表した「田中角栄の研究~その金脈と人脈」が田中角栄退陣の引き金を引いたことは確かで、文藝春秋とは非常に繋がりが強い人です。 しかし立花さんはルポの人で巻頭随筆とは「ちょっと違う感」が抜けきれませんでした。

立花さんといえば上に書いた田中角栄に関するルポルタージを書いたと思えば、「日本共産党の研究」で共産党をこき下ろし、総合商社、農協など日本を牛耳っている組織に関する取材でも有名です。

その後宇宙科学、精神科学、大脳生理学、臨死体験などにも対象を広げ、実に幅広いジャンルで独自の論点を展開してきました。

この本は立花さんの興味の対象がいかに多岐にわたっているかを垣間見ることができるものです。 自分の生い立ちから植物学、政治、エネルギー問題、宇宙工学、健康、地理学、生理学。社会問題、日本歴史、世界史、AI、自動運転、宇宙開発まで一節ごとに違ったテーマで豊富な知識を披露しています。

およそこれだけの知識を一人の人間が集め論じることが可能なのかと思わせる内容です。

なかで最も興味深く読んだのが、「クリミア戦争を覚えているか」です。 新聞記事だけでは伺いしれないロシアとクリミアの関係を知って驚きました。 ほとんどの日本人が知らないロシアとウクライナの領土と覇権を争う歴史を明かされると、果たしてアメリカ主導で展開されている「ロシア悪玉説」をそのまま信じていいのか疑問に思えてきます。 世論の流れに流されずに自ら取材してその背景に迫ることの大切さを教えてくれる一節です。

立花さんの知識を知る上では一節5ページほどの短い随筆ではとても足りません。 それぞれの一節が300ページのドキュメンタリーから抜粋されたと思えるほどの内容から生まれてきたもののように思えます。

1940年生まれの立花さんももうすぐ80歳。 いつまでこうした知に対する旺盛な興味を維持することができるのでしょうか? そろそろ5ページ程度の随筆で収めたくなるのではないかと思ったりもしています。

「大盗禅師」

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「大盗禅師」
司馬遼太郎著
2003年2月
文春文庫

 

 

 

 

 

 

司馬遼太郎の本は殆ど読んだと思っていたのですが、書店でこの本を見つけて小躍りしました。 まだ読んだ記憶がなかったからです。

司馬遼太郎は「坂の上の雲」や「竜馬が行く」などの独自の歴史観に基づく長編小説をいくつも作出していますが、一方でデビュー作の「ペルシャの幻術士」や「飛び加藤」などに代表される、忍者モノというべきか幻想小説というべきか、歴史上の人物を描きながら空想的なシチュエーションでの心躍る武士の世界を描出してみせます。

しかしこの作品は司馬さんの小説の中で最も焦点の定まらない「駄作」だと感じます。

まず数ある登場人部の中で誰が主人公であるかがわからない。
語り部らしい摂津出身の「浦安仙八」がそうだと思えば、この小説の題名である「大盗禅師」であるときもある。 しかも名前は「大盗禅師」ではなく「大濤禅師」でこの物語の中では影が薄い存在である。 一方で由比正雪や丸橋忠弥も話題の中心に出てくるし、中国の蘇一官や鄭成功も話の中で重要な位置を占めています。

江戸幕府が安定期を迎え、旧豊臣の残党や幕府による大名の取り潰しによって世の中にあふれていた浪人たちが、ことあれば取り入って一旗揚げようという意気込んでいた時代背景はわかるものの、だからといって幕府転覆、大明国に対して反旗を翻す動きのなかに紀州浪人である仙八が担うというのも不自然すぎる。

なにより司馬さんがこの小説を通じて何を描きたかったのかが見えてこないのです。 司馬さんらしく徳川家光時代の江戸の人情、京都の衰弱と当時の世情、鎖国政策と中国民国とのつながりなど史実に基づいて書かれていますが、あまりにもそのつながりが突拍子すぎるのです。

したがって魔術や幻術使いとしての大盗禅師や蘇一官といったが現実と史実をつなぐ人物として描かれるのですが、どうしても不自然さが残ります。
由比正雪と丸橋忠弥の描き方も中途半端です。 描ききっていない感があります。

まあ娯楽小説として読むには良いかもしれませんが、壮大な男の生きざまを描いた小説を描いて読み始めると、見事に裏切られる本です。

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