29日王子ホールディングス(3861.T)の株主総会に出てきました。 銀座の一等地にある王子製紙本社の立派なビルで行われました。 29日は3月期決算会社の株主総会のピーク日ということで、東京駅周辺では私が目にしただけでも三菱UFJリース、三井住友FG、日本製紙、ウシオ電機などの株主総会案内のプラカードを持った社員らしい人たちを見ました。
今年は6月29日が株主総会集中日だということですが、総会屋対策の必要性が薄れたことや株主からの批判が強くなったことから、集中日を避ける動きが浸透してきたようでうれしい限りですが、逆に言うと相変わらず集中日に10年一日のごとく株主総会を開いている会社は、IR企業情報開示に工夫が足りない会社ということができるかもしれません。
東証によりますと、3月期決算会社のうち集中が最もひどかったのは1980年から1990年代にかけてで、1996年などは96.2%の企業が同じ日に株主総会を開いていました。 これでは株主が一年のうち株主総会に出ることができるのはせいぜい2社程度だったのではないでしょうか?
http://www.jpx.co.jp/listing/event-schedules/shareholders-mtg/tvdivq000000011x-att/graph.pdf
それが2017年3月期では29.6%と30%を割る水準にまで低くなってきており歓迎すべき傾向だと言えます。 ただ総会通知が送られてきてから総会までの期間が2週間足らずしかないために、内容を吟味するには不十分といわざるを得ません。 うがった見方をすればわざと詳細まで検討されて総会で問題視されては困るので、わざわざギリギリのタイミングで総会案内を出しているのではないかとも思えます。 昔のようにシャンシャン総会ではなく、機関投資家金融機関も独自の意見表明をするところが増えてきており、そのためにももう少し検討期間を設けるべきだと考えます。 細かい数値合わせはともかくも役員人事や会社の方針などはずっと前に決定されているはずですから。
さて29日の総会集中日に開かれた王子ホールディングスの株主総会に出てきたのですが、実にがっかりしました。 歴史ある古い企業で収益も安定しているし、今期は業績もよいのですが、株主に対する姿勢が全くできていない。 古いスタイルの株主総会丸出しで、とにかく早く面倒な総会は終わりたいといった雰囲気が伝わってきました。
先ず矢島社長のプレゼン力が全くない。 下を向いて書かれたものを棒読みするだけ。 抑揚も身振りも全くなし。 スクリーンがあるにもかかわらず動きがあるPPT表示やグラフ、数字も全くありません。 中で 一番力を入れていると思われたのが企業買防衛策の継続についてでした。
社長が1951年生まれ、そのほかの役員も1948年からせいぜい1960年生まれ。 女性も外人もいません。 社外取締役は二人いますが、この役員の顔ぶれからは新規事業や資産のより有効な利用の仕方を目指す方針はまず生まれてこないと感じました。 役人体質、前例重視が目に見えるようです。
全ての会社の社長やCEOにスティーブ・ジョブズやザッカーバーグばりのプレゼン力を求めるのは酷でしょうが、少なくとも企業の顔となる社長は、人に対して説得力があり、信頼感がある人間を選ぶべきでしょうし、本人もそれなりの努力をするべきでしょう。 単なる年功序列で順送り人事。 役員になったら自らの保身しか考えないようでは発展は望めません。
王子ホールディングの株価はこのところ堅調に推移していますが、これは主に景気の回復基調による所が大です。 28日の株主総会を見る限り、これから大インフレ、資産インフレにでもならない限り株価が大きく化けることは期待できそうにありません。
株主からの「自社製品を近くのスーパーで買うことができない、目にすることが少なくなっている」という指摘にも的確に答えを出すことができませんでした。 この会社はどこを向いて商売をしているのか疑問に思いました。