還暦からの出発

日々の出来事と経済の動きを語る。花とカメラ、PCについての情報も。

2011年05月

ノミの跳躍力とレジリン

ノミは距離33センチを跳び、高さ20センチにも及ぶ。これは人が水平距離30メ-トルを跳び、高さ30階のビルを越えることに値する。 この跳躍力の元になっているタンパク質がレジリンといわれる物質で、体長の100倍もの距離を跳躍するノミやバッタの跳躍、一生に5億回も羽ばたくと言われる蜂の翅を支えているとされる。 もし人間がこの跳躍力を身につければ、170m近く跳躍することができる計算になる。 下はその事実を伝える1973年のTimesの記事。
http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,908246,00.html

この記事によるとノミは長距離を飛ぶことができるだけではなく、東洋のネズミノミの一種では1分間に600回の跳躍を3日間にわたって続けることができたという。その貯蔵エネルギ-の効率は97パ-セントとか。若しレジリンで作ったボ-ルを100メ-トルの高さから落とすと、97メ-トル弾むことになる。

このレジリンからどんなゴムより完ぺきに近い弾力を持つ「スーパーゴム」を開発することに、オーストラリアの連邦科学産業機構(CSIRO)が成功した。生体材料やナノテクの素材として注目を浴びている。
http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/scramble/scramble2005/20051207.html

以下は東奥日報からの一部引用。

普通のゴムは変形させる際に加わったエネルギーの一部が熱に変わり、元の形に戻るのにはエネルギーの60%しか使われない。だからボールのバウンドは弾むたびに弱まっていく。 この数値は、子供が遊ぶゴムのスーパーボールで80%、人間の臓器にあるエラスチンという柔軟なタンパク質でも90%。一方、エルビンさんらの測定によると、レジリンは97%にも達する。

作り方はこうだ。レジリンを作る遺伝子を大腸菌に組み込み、乳白色をした液体のレジリンを合成。あとは触媒を加えて型に入れ、光でぱっと照らすだけ。
今はまだ十分な強度がない。そこで遺伝子の働き方を変えて強度が上がるかどうかを研究中。「なぜこんなに弾力があるのかも謎。とにかくやることはたくさんある」

実用化すれば、人工椎間板(ついかんばん)や心臓の弁など、繰り返し変形する部分の生体材料に使える。ある企業からは、遊び道具にという提案もあった。
四十年余りレジリン研究に取り組んできたデンマーク・コペンハーゲン大のスベント・アンデルセン名誉教授は「将来は望み通りの性質を持つよう、設計できるようになるだろう」と喜ぶ。

服にくっつく草の種や実をヒントにした面ファスナーなど自然をまねた材料開発は、その後の技術の進歩を受けて本格化した。英国では半導体加工技術を使い、ヤモリの足をまねた吸着テープ開発が進む。
エルビンさんの二十人ほどのチームでは、分野の違う研究者がよってたかってそんな素材を探し、性質を調べ、合成を試みる。「金もうけじゃない。これが科学の楽しさ。次はナマコが自己防衛に使う粘っこい物質をまねて、水中で使えるのりが作れないかな」

レジリンに関する新しい情報がInternet 検索にかからないことから、以後の研究はあまり進んでいないように思えるが、安定して実用化できることを望みたい。

エンジニアの昆虫学

「エンジニアの昆虫学」 八木寛著 新潮選書 1994年4月刊

テントウムシ

このなかに「テントウムシ」に関する興味深いエピソードが書かれている。

甲虫類の中でテントウムシは野菜や花などに群がるアブラムシを食べてくれる益虫として歓迎されている。
ところでこのテントウムシ、赤と黒で非常に目立つ色合いであるが、鳥たちに食われないのだろうか? 不思議に思って実験した人がいる。

鳥かごにテントウムシを入れても鳥は一向に食べる気配はない。腹が減っていないのではないかと疑い、ほかの虫を入れるとすぐさま鳥は食べてしまった。 そこでテントウムシの模様のある前翅を切って入れたとたん、鳥はたちどころに攻撃して食べてしまったという。

そこで赤と黒の模様のある前翅を黒いマジックペンで塗りつぶしたところ、鳥は一気に攻撃して飲み込んでしまった。 今度は赤と黒模様の前翅をほかの甲虫の背中に貼りつけたところ、鳥はこの甲虫を食べようとしなかったという。

これらの実験から、鳥は赤と黒のテントウムシ模様を食べられないものとして認識しているようである。

ためしにテントウムシを手でつかんでみると独特の嫌なにおいが手につく。 テントウムシは脚の間からこの臭い物質を分泌していて、鳥がこのにおいを嫌っているため経験的に赤と黒の模様の虫をさけているためらしい。

これから野菜や花の苗にアブラムシが付く季節だ。 新居の庭にはバラを咲かせ、野菜も作りたいと目論んでいる。 そこでなんとか農薬を使わないでアブラムシを退治できないかと探していたら、「てんとう虫の家」なる商品を見つけた。http://www.heimex.net/item/1374/

てんとう虫は年に数回代替わりするものの、成虫のまま越冬もするらしいので、この「てんとう虫の家」を購入して庭においてみようかと思っている。

ちなみにこの商品名LB はテントウムシの英語名 Lady Bird からきているらしい。 Ladybirds、Ladybugs、Ladybird beetles、Ladybeetlesとも呼ばれるとか。学名はCoccinellidae という。 ちなみに前翅はElytraという。

昆虫が遺伝子を操作している?

「昆虫力」の続きの話です。 虫嫌いの人は見ないほうが良いかもしれません。

YouTubeの動画はモンシロチョウの幼虫に寄生したアオムシコマユバチが孵化するところをデジカメ動画で撮ったものです。


      komayubee
下の写真はコマユバチがタバコスズメガに寄生しているところです。

コマユバチのメスはタバコスズメガなどの幼虫の出す臭いに誘われ、その幼虫の体内に多数の卵を植え付けます。 幼虫もたまりませんから自らの生体防御機能を発揮して卵を殺そうとします。 しかしメスのコマユバチはその卵巣内に防御機能を無効にするポリドナウイルスと呼ばれるDNAウイルスを増殖させており、卵はこのウイルスを持って産み付けられるために、幼虫の細胞内に侵入して、その生体防御機能を破壊してしまうのだそうです。

さらに驚くべきことに、コマユバチの幼虫はこのタバコスズメガの変態を攪乱するウイルスまで保有しているらしいのです。 寄生したコマユバチは、幼虫が大きくなるまでに寄生先のタバコスズメガの芋虫が変態してさなぎや蛾になってしまっては暮らしの場が奪われてしまいます。

芋虫からさなぎになるためにはエルテラーゼ酵素が芋虫のままで居ようとする幼若ホルモンを分解する必要があるのですが、コマユバチの幼虫はこのエルテラーゼ酵素の分泌を抑制することにより、芋虫のさなぎ化を抑制しているというのです。

いつから、どういった過程でこうした寄生が行われるようになったのか興味のあるところですが、いずれにしろ芋虫に寄生する病原体であったウイルスのDNAをどうにかしてコマユバチが取り込んだことは疑いのない事実の様です。

いまこの昆虫とウイルスとの共生を利用して遺伝子治療に生かそうという試みが進んでいるそうです。 治療用の遺伝子を運ぶ「ベクター」としての役割をこうしたウイルスが果たすことを利用しようというのです。

コマユバチはその寄生する寄生先の範囲が限られているので、特定の蛾や昆虫に対する駆除や防御にそのまま利用されることも多いそうです。
生物の世界は実に多様です。

「昆虫力」 赤池 学

「昆虫力」 赤池 学著 小学館 2006年8月刊

いやあ面白い本です。 初めの1/4はそれほどでもないのですが、昆虫ホルモン、抗生物質、医療への利用あたりになるとがぜん面白くなる。 昆虫の能力ってこんなに素晴らしいものなのに、これまであまり注目されてこなかった。 しかしこれからは昆虫の生態研究から新しい薬や、殺菌剤、消毒剤、農薬などで、環境に悪影響を与えない生物由来物質がどんどん出てきそうな気になる。

著者は株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所の所長兼科学技術ジャーナリスト。 ユニバーサルデザインに基づく製品開発地域開発を手掛ける一方、生命科学、地域の技術人材資源を生かす物づくりや、製造技術科学哲学分野の著作、講演を行っている。

紹介された昆虫由来の「制癌剤」を一例に挙げる。

岩手大学鈴木教授らは「昆虫休眠ホルモン」を活用した制癌剤の研究開発を行い世界の注目を集めている。

鈴木教授らは「ヤママユガ」の休眠幼虫から「ペンタペプチド」を抽出構造を固定し、その物質の生理活性が休眠維持以外にラットの肝がん細胞の増殖を抑制することを発見した。 すでにペンタペプチドの化学合成にも成功し、特許を取得、今後人間のがん細胞抑制効果の確認を進めている。

がん細胞を殺すのではなく、休眠させる。かつ人間の体内でもアレルギー反応を引き起こさない薬の開発に大いに期待がかかる。

その他にも「イエバエ」を利用した有機たい肥の製造、カブトムシやコガネムシの幼虫から発見された抗菌物質など興味深いエピソードが数多く紹介されている。

地球上でもっとも多様といわれる昆虫。 我々のまだ知らない生態や事実が隠されているに違いない。 単に生物学だけではなく幅広い研究とその成果が期待される。

DeNA南場社長の退任

株式会社DeNA(2432.T)は25日、代表取締役社長兼CEOの南場智子氏の退任と、後任に守安功取締役が就任することを発表した。
http://dena.jp/press/2011/05/post-88.php

6月の株主総会後も南場氏は引き続き取締役として残るが、病気療養中の家族の看病を優先するという。

この発表を受けて26日DeNAの株価は急落、一方GREEの株価が上昇した。
DeNA, GREE, mixi はいわゆるSNS御三家といわれる急成長株だ。ソーシャルトゲーム、モバゲータウンで先行するDeNAが急追するGREEを警戒して、ソフト会社に対してライバルにゲームを提供しないよう圧力をかけたとして昨年公正取引委員会から独占禁止法違反の疑いで調査を受けた一幕もあった。

堅実路線のmixiと違ってDeNA, GREEの両社は、ここ2年間驚くような急成長を遂げてきたが、共に会員数が2000万人を超え市場が飽和しつつある中、TVのCM解禁もあってこのところ競争がし烈を極めている。

そうした中での南場社長の交代だけに、市場では色々なうわさが飛び交っているようだ。 DeNAの発表をそのままとれば南場社長はご主人の病気の看病に専念するために、CEOの重責を一時離れただけで、いずれ復帰するに違いないという見方ができる。

人間として、妻として,家庭人として素晴らしい行動だと称賛する声も多い一方、マッキンゼー役員からカリスマ経営者へと華々しい経歴を誇る南場氏が、経営者として脂の乗り切った時に経営を離れることに何か裏があるのではないかと疑問視する向きも多い。 飽和する国内市場からスマートフォンや海外に進出する案件など問題が山積している時期である。

後任の守安氏とは一緒に会社を立ち上げた仲、GoogleのCEO交代のように、今一度技術者に経営を任せて、自分は一度重責を離れて会社を見直してみようというつもりなのかもしれない。

グラフは2009年6月26日を起点とした株価の指数化チャートである。一番上の紫色がDeNA, 緑色がGREE, ベージュ色がmixi を示す。昨年後半からDeNAが
GREEを突き放すかに見えたが、ここにきてGREEが急速に追いついてきているのが見て取れる。

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1年後この3社のグラフがどうなっているか興味があるところである。

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